ただ、君の隣にいたいだけ
私が紹介して欲しいと言った言葉に嬉しそうに笑顔を見せてくれた亮輔さん。


でも、どうしてそんなに私を誘ってくれるんだろう?私が幼稚園教諭になりたかったから?



「亮輔さん、あの・・・どうしてそんなに私にスーツアクターの仕事を薦めようと思ってくれたんですか?」



「スーツアクターというよりはヒーローショーの仕事を一緒に出来たらいいなって思ったんだ。花菜ちゃん覚えてない?昔、ヒーローショーを誰よりも楽しみにしてたこと。俺たち本当によく一緒にファミリーパークに行ったんだよ。近くだし親同士は友達だったから。それに花菜ちゃんが小さかった頃はさ、お店も日曜日は休みだったのもあったしさ」



「そうでしたね。昔は日曜日うちの店、休みでしたね」



「花菜ちゃんが丁度明海くらいのとき、俺が小学校の高学年でさ。俺や明菜は乗り物に乗れるけれど自分は乗れないって泣いてばかりでさ。恵里奈は元々怖がりで乗り物に興味なかったけど花菜ちゃんは不機嫌だったんだよな。おもちゃやお菓子で釣ってもダメだった花菜ちゃんがヒーローショーのときだけはピタっと泣き止んで大声で応援してた。握手したときなんてすげーキラキラ笑顔でさ。ちょっと俺は悔しかったんだよな。俺が笑顔にしたかったのにって」
< 74 / 231 >

この作品をシェア

pagetop