ただ、君の隣にいたいだけ
act 5 気にしないでほしい
あれから2日。亮輔さんはあのキスのことに一切触れない。だから私も気まずくなりたくなくて何も聞けない。


あの後の言葉がずっと残ってるから。



今日、亮輔さんと一緒に事務所に行ってアルバイトの契約をした。事務所は白石という繁華街のビルの一室。


普通ならまず、申し込んで連絡をもらうのが筋なのに亮輔さんの推薦だということで私は即採用。とはいえ、完全のド素人がいきなりそんなファミリーパークのような大きな場所でのヒーローショーのお手伝いを出来るのかな。



「亮輔から聞いていますよ。声優志望だったと。それに子どもも好きなら尚更適職ですね。あなたならきっと1ヶ月でMCの仕事をマスターできると思います。なかなか代わりがいなかったので期待してますよ」



河島さんと紹介された事務所の社員さんが軽く面接させてくださいと言い、亮輔さんと私を会議室に促した。そして言われた一言。



「えっ？えっと・・・私、運営スタッフとして、ですよね？」



「運営スタッフ？ファミリーパークはテントなど張る必要もないので基本的には運営スタッフは必要ないですよ。あなたは今のMCの引き継ぎだと亮輔から聞いていますが」
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