ただ、君の隣にいたいだけ
「だ、大丈夫です。明日のこととか考えてました。ちゃんと出来るかなって」



「花菜ちゃん、ちょっとこっち来て話さない?」



コトンと居間のテーブルにコーヒーカップを二つ置く。お母さんはすっかり寝てしまっているだろうからどちらかの部屋にしようと言ったのに居間がいいと亮輔さんは譲らなかった。



「ちゃんと話したいなって思って。今日、練習があったから話せなかったからさ。今回の件なんだけどさ、今やってる子が夏からアクターやりたいって言い出したから誰かいないかなって」



「それで私に白羽の矢が立ったんですか?でも私、本当にド素人の未経験ですよ」



「でも、興味を持ってくれた。俺が思っていた以上に。だから花菜ちゃんしかいないと思ったんだ。正直、そんなに興味がなければ諦めようと思っていた。でも、どんどんと興味持ってくれたから強引にでも引き継いでもらいたかったんだ。確かに大変な仕事だと思う。それなのに稼ぎはほんの僅か。好きじゃなきゃ絶対に出来ない仕事だと思う」
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