ただ、君の隣にいたいだけ
「ごめんな、花菜ちゃん。あっじゃあちょっと軽く俺が説明するから端のほうに着いてきてくれるかな?」


亮輔さんに着いていき、二人で体育館の端に膝を抱えて座る。こんな風に体育見学してたことあったな。ここは懐かしい場所なのに新しい場所でもある。


あのマットも昔から使ってるやつで私もマット運動やったな。でも、今は大人ばかりがあのマットの上で前転と後転を繰り返している。しかもかなり真剣に。


一見、見るとかなり不思議な光景だけれどあれも亮輔さんのお仕事の一つなんだな。



「今、みんながやってるのはアクションの基本。受身の基礎だよ。それが出来るようになって、少しずつ大技を練習していくんだ。今日からの新人さんも多いから花菜ちゃんも気兼ねなく頑張ってね」



それを皮切りに亮輔さんはいろいろと説明してくれた。このメンバーは全員、『チームアクシーズ』というチームで普段からヒーローショーやキャラクターショーを担当している。


亮輔さんは以前、このチームに所属していて今回は一年間という限定でこのチームに戻って来た。そして、彼は一番年上の古株なのでチームリーダーらしい。
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