ただ、君の隣にいたいだけ
「花菜ちゃん?だっけ?声、すごく通っていい声だね。さすが亮輔の秘蔵っ子」



ブツブツと台本を読んでいると声を掛けられた。視線を上げるとショートカットの女の人が立っている。瞬きを繰り返していると私の隣にストンと彼女は腰を下ろした。



「あたしは小暮愛梨。愛梨でいいよ。25歳でアクシーズ歴は5年。今はナイトイエローを担当しているんだ」



人懐っこい笑顔を浮かべた愛梨さんは緊張している私にメンバーの紹介をしてくれた。



「あそこで今、マット指導しているのがグリーン担当の野村くん。彼はあたしの次に長いよ。でその隣にいるのがレッド担当で今、亮輔が必死で育てている庄野くん。彼は綾羽ちゃんの幼馴染らしいよ。後、ピンクなんだけど今の戦隊モノがヒロイン二人だからそこに亮輔は綾羽ちゃんを入れたいみたいなんだ。だから花菜ちゃんが綾羽ちゃんの後、頑張ってね」



4人以外のメンバーは後、5人ほどいたけれどみんなここ最近、入ってきた新人さんばかりらしい。たくさんいて覚えられないから特徴であだ名を付けたんだとか。



「彼は背が高いから『ノッポ』逆にその横は小さいから『チビ太』あの子は色が黒いから『クロ』であの子は『シロ』最後の彼は・・・えっと特徴ないから『ナシ?』」



特徴がないって。まあ確かに他の子に比べると特徴ないけれど『ナシ』はさすがに可哀想。
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