オトナになるまで待たないで
人に髪を洗ってもらうのが、こんなに気持ちいいなんて!


「みんな、お金出して美容院に行く意味がようやく分かりました」


ミツキさんのシャンプーする手が止まった。

「まさか今まで、ヘアカット行ったことないの?」

「ないです。中学までは母親が切ってましたけど、今は自分で適当に…」



ミツキさんが、低いため息をついた。

「佐野先生、この子とんでもないですよ」

「なあに?」

「ヘアカット行ったことないって言ってますよ」

「まぁ!今どきいるのね。きっと恋したら変わるわよ」



私はちょっと反発心が湧いた。

「だって人間は見た目じゃないじゃないですか。見た目に惹かれて来る男なんて嫌ですよ」

「それは違う!」

…と、2人が同時に言った。
< 101 / 472 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop