オトナになるまで待たないで
「オシャレは看板よ?」

佐野さんが言う。


「アナタ、今お腹が空いてるのに、看板のない店に入る?」

「…入らないです」

「看板のない店にイチイチ入って、自分の食べたい物があるか確かめて回る?」

「回らないです…」

「お寿司が食べたければ、お寿司屋。ハンバーガーが食べたければ、ファーストフードの看板を探すでしょ?」

「…はい」

「それと一緒。いくら良い素材があっても食べてもらう努力をしなきゃ、腐っていくばっかりじゃない」


ああ…そうか。

そうなのか。

あのバカなように見える女子軍団も、食べてもらう努力をしているんだ。

バカにして悪かったな。

好きにはなれないけど。



「こういう子は、燃えますよね」

ミツキさんが静かに言った。


「とことん、やっちゃいます?」

「任せるわ。ミツキちゃん、メイクは言うことないから」


メイク!?
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