オトナになるまで待たないで
打ちひしがれる私に、ゴウは更に言う。

「あ。ナプキン!」

「要らない!こない!」

「そんなこと言うて、急にキたらどないすんねん。さすがのウチもよう買わんわ」

ううううう…

しぶしぶ自分で出して、紙袋に入れる。

その上から、見えないように着替えの服で隠す。


「仏壇どこなん?」

「仏壇は置いてこうよ」

「アホかッ。持って行くわけナイやんっ。恐ろしい子やな!」



小さな仏壇の前に案内すると、ゴウはお鈴を鳴らして手を合わせた。

「お母さん、夏海さんはウチで預かります。心配しないで下さい」


もう…仕方ない。

私も手を合わせる。



お母さん、娘は連れて行かれます。

オトコなんだか、オンナなんだか分からない人に…


お母さんは、ゴウを知っても動揺なんてしないだろうなと思った。

お母さんて…意外に大物だったかも。

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