オトナになるまで待たないで
相手側の弁護士が、億劫そうに言う。

「奥さん、それは今言わなくていいことでしょ」

「だって、どう考えてもおかしいじゃないですか。客を馬鹿にしてますよ」



部長が言う。

「今は営業形態のことではなく、こちらの被った被害に対して、どうお考えなのかと言う話をしているんです」

「それは考えてますよ。ただ、こんないかがわしい店で働いていれば、当然ねぇ……?」


店長が身を前へ乗り出そうとする。

部長がその肩を掴む。



弁護士が茶化したように言う。

「それは、言い過ぎって奥さん」

「そもそも学生が働くってこと自体どうかと思いますよ。遊ぶ金に変わるだけじゃないですか」


出たよ。


「遊ぶ金欲しさ」

よく言われるんだよ、そのセリフ。

これじゃあ、ただ罵倒される為に来たみたいだ。

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