オトナになるまで待たないで
ゴウが顔につけて伸ばしてくれる。

いい気持ち。

自分でやるより、よっぽど上手い。



「なんで、うちみたいな高校にいるの?」

「別にええねん。どこでも。大学行く気ないもん」


もったいない……

先生が知ったら、たぶん泣く。


朝食が運ばれて来た。

うまそう……じゃなくて、オイシソウ。

チキンの入ったサンドイッチだ。



「いただきます!」

「はい。いただきますぅ」



あ~美味しい。

ゴウが、サラダにドレッシングを掛けてくれる。


「…私、妻が欲しい」


ゴウが吹き出した。


「何を言うてんの!」

「私が働いてさ…」


ゴウが、のけぞって笑う。

白いシャツから、鎖骨が覗いた。


ズキ…


胸が痛くなる。


なのに目が離せない。

呼吸が止まり、喉が詰まった。



「どんだけ男前やねん!」



ゴウはまだ笑っている。


私は無理やり目線を外した。


「いいじゃん、別に」


もう顔を上げることができない。

食べるのに集中する。


なんだ、コレ?


ダメじゃないか、コレ?
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