オトナになるまで待たないで

気づき

英語と数学の補習が、今日から始まる。

そして4時に、病院の予約をしてある。


ゴウを待たせるのは悪いので、先に帰っていいと言ったら、

「交渉してくる」

とゴウが言い出した。



絶対無理と思ったのに、

「坂下さんには、自分が勉強を教えます」

先生たちに告げて、私は見事に補習を免除された。



さすが、王子様。

さすが、おバカ高校。

ユルイ……



私を乗せて自転車を漕ぐのにも慣れたのか、かなりのスピードで飛ばして行く。

「う~ん。アンタんとこの駅、着替えられそうな所ある?」

「はぁ!?まさか今日も行くの!?」

「松井さんに、元気なとこ見せな~」

「元気だろうがよお!昨日の今日だぜぇ?」

「やめなさい!女の子のしゃべる言葉ちゃう!」

ちっ……

今はあらゆる意味で逆らえない。

店長のことをちゃっかり松井さんとか呼んじゃってるし。


「行ってどうすんの?」

「お話しするんやんか」

「ネットカフェだよ?静かなのが売りだよ?」

「そこまで、しゃべらへん。ただ、松井さんの顔見られたらええねん」


すんげー……

じゃなかった、

素晴らしい情熱でございますこと。


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