オトナになるまで待たないで
ゴウが辛そうで、
だけど話をしたがっているのも分かった。
お母さんが死んだ時に、言って欲しかった言葉を言った。
「自分がどう思われるかなんて考えないで。何でもいいから聞かせてよ」
ゴウが顔を上げる。
辛そうに言葉をつなぐ。
「お母はんが…取り乱してん…
『向こうの親御さんの気持ち考えたら、退学する他ない』
て、お父はんが言うたから」
私は黙って頷いた。
「お母はんは
『うちの子は悪くないのに、何で辞めなあかんの』て。
『自分の子供より他人の子供の方が大事なんか』って」
ゴウのお父さんは、取り上げなかった。
ゴウも退学に同意した。
カミングアウトする事と、バレるという事は全然違う。
もう学校にも噂は広まっているはずだった。
そして、ゴウの両親は離婚してしまった。
「お母はんは…認められへんねん。ウチのこと」
「今、どうしてるの?」
「実家に帰って、精神科通いしてはる」
ゴウは長期休みのたひに、お見舞いに行っているが、
話せるような状態ではないそうだ。