オトナになるまで待たないで
「卒業したら、どうするの?」

「…分からない」

妃乃は表情を曇らせた。



「本当は…お母さんのとこに行きたいけど」

「そうなんだ?」

「でも無理よねー」


妃乃らしい軽い口調。

妃乃らしくない内容の重さ。


そのアンバランスさに、思わず声を上げた。


「無理じゃない!」

妃乃が驚いたように、私を見つめる。

「だって…」

「だって生きてんじゃん!」

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