オトナになるまで待たないで
しばらく休んで、ゴウに付き添ってもらいながら帰った。
ベタベタした空気!不愉快!
ゴウは、店長の素晴らしさを延々と語る。
「ホンマ、かっこええわぁ。あの目つきがゾクッとせぇへん?声もええねん。低すぎず、高すぎず、あんな声で責められたいわぁ」
「キ…」
「き?」
キモイと言いそうになって止めた。
ゴウに「キモイ」は、シャレにならない。
「キ…キンシーッ!!」
「うわっ!なんやねん。大きい声出してぇ」
「もう店長の話は禁止ーっ!」
帰宅を急ぐ人たちが、私たちを振り返る。
「なんなん!?」
ムスッとしながら、足を速めた。
足の長いゴウは、難なく付いてくる。
「私はね、店長も嫌いだし、女子も嫌いなの!」
「そんなぁ。そんなこと言うたら、何の話もできひんやん」
「あのオッサンの何がいいの?」
「オッサンちゃう!まだ25やで?」
「25だとおおおおおおおおおお!?」