オトナになるまで待たないで
「俺としては、あと数時間で仕事が終わるわけだから、その後ご飯でもと。こう思うんだけど」

「数時間て…なぜ、お前を待たないといけないんだ…」

青木さんが、手早くグラスを補充しながら、もっともな突っ込みをしてくれる。

「ふむ。たった2時間…それが待てない筈はないと思うのだが」


きっ…キモい。


妃乃が、手を振る。

「あ、ごめんなさい。松井さんがいないなら帰ります」

「店長と田野畑くんじゃあな…」

青木さんが、うなずきながらキッチンに入る。



この間から、青木さんしか働いてない…。

早く復帰したいなぁ。



「店長、店長って言うけど、ただの雇われ店長だよ?この会社の資本金いくらかご存知?」

「田野畑くん、ただのバイトじゃないですか」

「バイトはバイト。就職とは違う。特に俺なんかが狙ってる所とは…ね?」



そう語りながら、カウンター周りを拭いている。


「そのダスター、灰皿用なんですけど……」

「知ってる」

あっさりと言う。
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