オトナになるまで待たないで
「帰ろーっと」

妃乃が言った。

私も従った。

「だぁかぁらぁ!待ってって!」


呆れ果てて、言った。

「いつになったら、仕事するんですか?」

「仕事してる」

「青木さんしか働いてませんけど」



当の青木さんは、とっくに洗いものを済ませて、漫画本を片付けている。


田野畑は、私の言葉を無視して、妃乃の腕を掴もうとした。

妃乃が身構える。



ヤバい!

空手…!



私は慌てて、田野畑の手を振り払った。


「触るな!」


思わず大きな声を出す。


田野畑は、元から曲がった口をさらに曲げて、私を睨んだ。

「それ、嫉妬?」
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