オトナになるまで待たないで

「はぁ?」

唖然として、田野畑をしげしげと見た。


田野畑が早口でまくし立てる。

「どうかと思うよ。自分のコンプレックス?弱さ?歪み?そういったものを人のせいにするのはさ」



小学生の頃亡くなった、お爺ちゃんが言ってたっけ。



「馬鹿に漬ける薬はねぇやな」



あ…口から出てた。



田野畑が目をつり上げる。

「馬鹿に馬鹿って言われる筋違いは断じてない!お前、偏差値いくつだ!?」

「あのぉ」



妃乃が声を出した。

「ごめんなさい。ワタシ…」



田野畑が真っ赤な顔をしたまま、必死で笑顔を作ろとする。



「ワタシ、顔が良くないと絶対駄目なんですぅ」

「顔…。人間は中身で…」

「ええ~?だってキスする時に、その顔が近づいてくるの想像して下さいよぉ?」



田野畑は、すぐさま反論したかっただろうと思う。

しかし、現実問題として…



「ムリですよ」

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