オトナになるまで待たないで
「中退して働いてる子なんていっぱい居るよ」
空気が吸えない。
そんなこと…軽いノリで…
私って何なの?
あの家を守るために、必死でやってきたのに。
「わ、私は、高校卒業したい」
ようやく、そう言った。
「あっそ」
低い声で、お父さんは答えた。
「どっちでもいいけど」
体中から、力が抜けて崩れ落ちそうだった。
突然、お父さんが立ち上がった。
「飲み直す。先に帰ってて」
3千円が目の前に置かれ、立ち去るお父さんに合わせて揺れた。