オトナになるまで待たないで
帰ってもらおう。

今は、頭が整理できない。


「あの…」

店長を見上げた。

吸い込まれそうな黒目が、私を見ていた。

「大丈夫か?」

「はい」

「帰って欲しい?」

「…すみません」

他に言葉が見つからない。

うなだれるしかない。

「また来ていいか?」

「もう今年は、帰ってこないと思います」

「そうじゃなくて。坂下の様子見に」


私は首を横に振った。


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