オトナになるまで待たないで
そうだ。

ゴウは…

って言うか妃乃は、
店長のことが好きなんだ。


「ナイです」

自分でも何が言いたいか分からない。

「そういうのは、絶対にナイです」



店長を玄関の方へ押しやった。

片手じゃピクリともしない。


逆に腕を掴まれ、動きを封じられた。

店長と真っ正面から向き合った。

「何もしない」


また、電流が走った。

怖いのに、目が離せない。

離れたいのに、力が抜けていく。



「そんな目で見るな。どうにかしたくなる」


長い時間が流れた。

ふいに立っていられなくなって、

その場にへたり込んだ。


「大丈夫か?」


自分が自分じゃないみたい。

何のコントロールも効かない。


「何やってんの、私…」



店長はゆっくり腕を離すと、玄関に向かった。


「分かったよ」

ドアが静かに開き、そして閉まった。

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