オトナになるまで待たないで
向かい側のホームに店長がいた。

店長は明らかにこちらを凝視していたけど、すぐに電車が到着して見えなくなった。


「けっこう混んでるやん」

「参拝して来たんでしょ」

「荷物、寄越し」

「いいよ」

「ええから!網棚に上げるわ」

そこはオトコ。
長いリーチを使って、軽々と荷物を上へ上げる。


電車が走りだした。


「今、店長がいた気がする」

「え!どこ!?」

「もう見えないけどさ」

「いやや!ウチ、こんな格好見られたナイ!」

「見ても分かんないでしょ」

「気持ちの問題や!常にベストでいたいねん」


今頃、お店で事情を聞いてるかな。



お父さん、何でもないといいんだけど…

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