オトナになるまで待たないで
「ご家族の方ね、すぐに来てもらわないと困りますよ。いくつ?」

「え?」

「アナタいくつですかって聞いてるんです」

「17です」

医者は舌打ちをして、小さい声で

「話になんない」

と言った。


「他に成人しているご家族の方いない?」

「いません」

お父さんが答える。

「父一人子一人なんで」

「今度の手術は大きい手術なんです。もしものことが…ないとも言えませんから、お子さんしかいないんじゃ困りますよ」

医者はお父さんを睨んだ。


「いくら家族だって言っても未成年じゃね、坂下さん。どうにもならないんで」
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