オトナになるまで待たないで
原さんは、主に茶色い食べ物が詰まっている弁当をつついた。
「だけど、この歳になんとよ。あ~、やっぱり高校くらいは出ておくんだったなと思うのよ」
なんと言ってよいやら。
私はもう一枚シソを口に入れた。
「もう数えで77になんだぜ?笑っちまうよ。それでもまだ働かねぇといけねぇんだから」
「ええ!?」
お爺さんだとは思ってたけど、あと三年で八十歳!
「なんか…凄いですね」
「アンタみてーな若ぇもんには、考えらんねぇだろ?」
「そうじゃなくて…だから…ええっと、それって…健康ってことですよね?」
原さんが弁当から顔を上げた。