オトナになるまで待たないで
お父さんが実際に住んでいる所まで来るのは、初めてなんだよね。


高い建物がなにもないって、変な感じだ。


だけど、静かで落ち着いていた。


あちこち案内されて、

「コレ、娘!」

と知り合いに会うたびに、紹介された。

いつも行っている居酒屋「アサちゃん」の女将さんにまで紹介されて、

「こったら、はぁ、めんこいこぉがおったらのお、そんら○×△□!」



「聞き取れない…」

「女将さんは、あちこち渡り歩いたみたいだから…苦労してると思うよ」


お父さんは、いつも来ているだけあって、女将さんの話が分かるらしい。


「俺なんて、もうガタガタだから娘だけが頼りっ!」

なんて言って笑ってる。


良かった。

元気そうだ。

こっちに友達も居るんだ。


ホッとした。
< 280 / 472 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop