オトナになるまで待たないで
家に着いたら、号泣するつもりでいた。


だけど、涙は出なかった。


横になって、脱け殻のようにカーペットの毛先を見つめた。

全身から血が流れ出て、

でも止める力がない。

…そんな感じだ。




「何だろうね」



蝉の声が聞こえる。



「何なんだろうね」


答える人は、いなかった。


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