オトナになるまで待たないで
西口のロータリーは、消防車で真っ赤に染まっていた。
居酒屋のある階から、煙りがあふれ出ている。
「うそでしょ!?」
悲鳴のように叫んでも大量の野次馬で、誰も振り返らない。
私は、周りを見回した。
ネカフェ制服…真っ青なエプロンを探す。
「いた!優美ちゃん!」
優美ちゃんは、蒼白な顔をしたまま気づかない。
人波をかき分けて、優美ちゃんに近づく。
「優美ちゃん!」
「…な、なっちゃん」
優美ちゃんは、泣き出した。
「大丈夫?怪我は?」
「買い出しに行ってたの…うわあああん!どうしよう!?店長もいないし、ケータイもないし…」
そうだ。
今日は会議だから、店長は本社なんだ。