オトナになるまで待たないで
優美ちゃんが泣き叫ぶ。
「どうしよう!
青木さんが居るの!
お客さんだって中に…!
あああ青木さん、おお腹に…あああ赤ちゃんがいるのにい!
きょきょ…今日で辞めるのにいいい!」
青木さん…赤ちゃんが出来たんだ!
煙は東の窓から、モウモウと湧き出ていた。
不思議だけど、そこは厨房じゃなく非常階段のあたりだった。
あの店…なんでもかんでも階段に置くから!
―表側からは見えねぇんだ。地下二階の西側から入んだよ―
「優美ちゃん、カバン持ってて」
「…なに?」
「確かめてくる」