オトナになるまで待たないで
変な臭い…
店内が、なんとなく白い。
「佐々木さん!」
佐々木さんがいつも使っているブースを開けた。
佐々木さんは、机にうつ伏せになって、いびきをかいていた。
「佐々木さん!」
肩を揺する。
「佐々木さん!火事!逃げよう!」
佐々木さんは、うつ伏せのまま言った。
「君だけで逃げろよ」
「そうはいかないの!佐々木さんが逃げないと、私も逃げれない!」
「いいんだ…俺は。
火事で死ぬ運命なんだ…
家も母ちゃんも燃やしちまったんだから…」
だからだ。
だから、いつも灰皿に水を入れてたんだ。