オトナになるまで待たないで
お兄さんが、カーテンを開けた。
「寒くない?」
木には葉っぱがなくて、寒そうだった。
その代わり、ピカピカしたものが枝にたくさんついている。
「俺の名前は、マツイ・トウマ」
鼻の形がきれい。
私は手を伸ばした。
「なに?…いてっ」
お兄さんは笑った。
「トウマって言ってみて」
「トーマ」
お兄さんが、私の手を握りしめた。
「もう一回言って」
「と!!」
「と・う・ま」
「ト…ウ…ま」
頭をなでられた。
「初めて呼んでくれたな…」
私はまた外を見た。
「おっこちたって~たいへーん」
「もう落っこちないよ。俺が見張ってるから」