オトナになるまで待たないで
大騒ぎしてる横で、私はジュースに手を伸ばした。
「うわ。こぼした」
「あらららら」
ヒノちゃんが、服を拭いてくれた。
「トンちゃん先生は、どう思うん!?」
「うーん。僕は関東周辺がいいと思うねぇ」
トンちゃんは、私を見ながら腕を組んだ。
「やっぱり記憶が戻るような環境ってことが第一だよ」
ヒノが口をとがらせた。
「せやけど大阪なら、オカンとウチの交代で見れんねん」
「記憶が戻ったとして…
そこは土地勘のない場所でしょ?
一気にすべての記憶が戻るわけじゃないし、
いずれ独り立ちすることを考えると…」