オトナになるまで待たないで
熊谷くんが、ヤグラタさんの高い鼻を掴んでいる。

「おい。顔の形変えてやろうか?」

「ハイへ!ハイハハイヘ!!」


お……王子が暴力を……

と思いながら、立ち上がろうともしなかった。


やっぱりストレスが溜まってるからかな……


熊谷くんの握力がよほど強いのか、ヤグラタさんは一歩も動けないでいる。

目を自分の鼻に寄せながら、口をパクパクさせるしかない様子。


馬鹿だなぁ。

馬鹿面だなぁ。


突然、熊谷くんが手を離した。

勢い良くヤグラタさんが、後ろの机に激突。


「ひぃぃぃぅっ!」

聞いたことのないバージョンの悲鳴を上げながら、ヤグラタさんは教室から走り去った。

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