オトナになるまで待たないで
事情聴取が済んで、警察の人は帰って行った。



中年の男性と少し歳の若い女性だった。

「大変だったね」

「楽な体勢でお話し下さい」




2人とも優しい口調だけど、目つきは鋭い。


これがプロかぁ。

ちっとも楽しそうに見えないのに、2人とも仕事に没頭しているように見えた。

土日も夜まで働かないといけないなんて…

あ、ネットカフェもか。
あとコンビニとか。工場とか。




働くって大変。
だけど、働けないのはもっと大変。



大きな、ため息をついた。



「大丈夫か?」

店長が聞く。
店長は、事情聴取の間もそばにいた。



「お店は大丈夫なんですか?」

「今日は営業できないから、あの後閉めた」

「再開したら…?」

「部長が来てくれるし、他店から応援頼むから」



ほっと息をつく。


「俺、家にもお父さんの携帯にも掛けたんだけど…」

「出ないでしょう」

間髪入れずに答える。

「いいんです。お盆には帰ってきますから」



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