オトナになるまで待たないで
帰って来れないのか。

帰って来ないのか。

最後に帰って来たのは、去年のお盆だ。



「じゃあ親戚は?」

「もういいですから、帰って下さい。本当に大丈夫ですから」



イライラする。
もうほっといて欲しい。

「ヤケになるなよ」

「なってませんよ!」

「いいから休めよ」

「休みませんよ!遅刻も早退もしません!」


肩に激痛が走る。
顔をしかめたが、必死で堪える。


「とにかく座れって」

椅子に座って呼吸を整えた。

そうだ。

大事なことを思い出した。

「それに…来週はテスト期間です!」

店長がうめき声を上げた。

「マジか」



お風呂…お風呂か。

「店長。すみませんけど、髪を切って下さい」


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