オトナになるまで待たないで
「大丈夫?」

王子だ。

教室が別のざわめきに変わる。



「ほら、送ってくから」


私のバッグに、荷物を詰め始める。

されるがまま、私はそれを見ている。



「行くよ」

「ん…」


ふらふらしながら立ち上がった。



「具合悪いの?」

「めっちゃ眠い」

「薬のせいじゃない?」


そういえば、一時間くらい前に飲んだ。


「もう。髪、切りたーい」

「別にいいし」

「そんな髪型で、平気とか有り得へんわ」


下駄箱で靴を履かせてもらう。

…お姉さんみたい。
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