涙色の空をキミに。
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「…ただいま。」
「おかえり、夢空、どうしたのっ…?」
家に1人で帰ると、さっきいきなり飛び出したからかお母さんが心配そうに顔を覗き込む。
「…うん、ちょっと色々あって。」
曖昧に微笑むと、何かを察したのかご飯食べよっか、とダイニングまで連れて行ってくれる。
顔を上げると私を含めた3人分の食事があって、結衣が興味深そうに雑誌を読んでいた。
「あ、お姉ちゃんっ!おかえり〜!」
「…結衣が雑誌読むの珍しいね。」
「そう?中学生なんだから案外みんな読んでたりするよ?」
きょとんとした結衣によって、開かれたページにデカデカと『告白決定版』と書かれた文字が目に飛び込んでくる。
『想ったことは口にすべし!相手に言わずして、想いは届かない!』
……口に出しても、届かない場合はどうしたらいいの。
はあっと気づかれないようにため息をついて、椅子に座った。
「いただきます。」
手を合わせてご飯を食べる。
いつもの他愛ない家族での会話。
…私は、ついこの間、このあたたかさも幸せも知ったんだ。
琉空は、今も1人でご飯を食べてるの?