涙色の空をキミに。
信じ続ける茶色。
【琉空side】
真っ白な世界で、繋がれた両手。
温かい感触に横を見ると、母さんが笑ってて、もう片方では椿さんが笑っていた。
いつか写真で見た父さんが母さんの隣で歩いている。
幸せに笑っている小さい俺。
揺れる両手を握りしめた途端、周りが暗闇に包まれた。
…父さんが、いなくなる。
母さんの握る手の力が弱まった。
『待って…、行かないで…っ』
必死に声を出しても誰にも届かない。
突然フッと母さんから笑みが消えて、ゆっくり、ゆっくり手が離れる。
懸命に手を伸ばしても掴めなくて、…母さんが消えた。
『待って、行かないで、…母さんっ!!』
霧のように消えた母さんを泣くように呼びかけると、突然椿さんの手が伸びてきて俺を抱きしめる。
『椿さんっ…母さんが、母さんがっ…』
俺の右手から消えた温もりをなくさないように抱きしめてくれる椿さんに、安心して。
でも、そのうち椿さんすら、薄く消えていく。
『嫌だ…、待って…』
俺の声がまるで聞こえないみたいに静かに微笑んで、塵のように儚く舞って…消えた。
『どうしてみんないなくなるの?』
…真っ暗闇の世界で1人。
『嫌だ!行かないで!消えないで!置いてかないで!!』
3人が消えた世界で、1人泣き崩れる。
届かなかった言葉。届かなかった手。
『独りに、しないで…』