涙色の空をキミに。
涙色の空をキミに。
「夢空ーっ、絵頑張ってね!もう今日で完成しそうなんだっけ?」
「うん、多分すぐに完成すると思うよ。」
「本当?夢空ちゃんの絵楽しみにしてるね。」
渚沙と夏芽、彩と部活前の放課後いつものように話をする。
「今日は夢空なるべく早く帰るんだよね?」
「あ、うん。単身赴任のお父さんが久々に帰ってくるから、家族みんなで外食行くんだ。」
「ふふ、仲良いね。じゃあ今日は早足で帰ろう。」
渚沙の提案が可愛くて思わず笑ってしまう。
夏休みを目前に控えた7月後半のこの時期は、クラスみんながイキイキとしていてなんだか雰囲気が軽い。
少しだけ会話を交わしてから、3人と分かれて1階の美術室へと階段を降りる。
ガラッと音を立てて開けた扉の先にいたのは、見慣れた大好きな後ろ姿。