涙色の空をキミに。
「…よし、」
筆を置いてキャンパスをまじまじと見つめる。
どこまでも続く澄んだ空が、透き通った海に映る絵。
「…完成?」
「完成。」
「おめでとう、夢空。」
微笑んだ琉空に「ありがとう。」と伝えた。
…濁った色も綺麗な色も全てが混ざり合って1つの絵になる。
……何1つダメなこともダメな色もなんてきっとないんだ。
「琉空はさ、将来に夢ってある?」
「ふは、何、急に。」
笑った琉空に少しムスッとするとまた可笑しそうに目を細めたけど、すぐに考えてくれる。
「…うーん、まだハッキリと決まってないんだ。…今までずっと自分の今で手一杯だったから。」
「…同じ。私も今ばっかりで夢なんて全然決まってないの。」
名前負けをずっとしていると思っていた。
夢と空なんて眩しすぎて自分には似合わないって。
「でも、琉空と出会って世界が変わった今、やっとやっとね、見つけられそうな気がする。自分が何がやりたいかすらも分からないけど、夢をいつか見つけられそうな気がするんだ。」
夢を見つけて追い求めていけるように。
そうなれた時、自分には眩しすぎると思っていたこの名前で堂々としていけると思う。