涙色の空をキミに。
「夢空、…今の自分は好き?」
突然、琉空から暖かい声が聞こえてゆっくりと目を開く。
その問いかけに、小さく首を横に振ると、目尻を下げて、ふわりと微笑んだ琉空が視界に入った。
「…今の自分が好きじゃないなら、心から笑えないよ。中途半端な覚悟じゃ誰も何も変わらないんだ。」
「…うん。」
「夢空が何もかもを失っても守りたいものって何?」
「そんなの…」
琉空の問いかけに、答えられなくて、目を伏せる。
自分の居場所?…こんなに息苦しいのに?
友達?…無理して合わせる以外に取りつくれないのに?
…ああ、そうだね、きっと。
私が全てを失ってまで守りたいものなんて、ここには、ないんだ。
「居場所がなくなったら作ればいいよ。何で学校だけなの?家だけなの?夢空の世界はその2つだけじゃないよ。なんなら、俺が夢空の居場所になる。」
透明で、透き通った君の言葉が、スッと私の心に入ってくる。
…もう答え、なんて決まっていた。
間違っているとか、正しいとかそんなの関係なくて。
私がしたいように、動けばいい。
ポト、と一滴の雫が頬を伝って、吸い込まれるように手に落ちるから顔を見られないように俯く。
「ねえ、琉空。」
「なに?」
「琉空って変だよね。」
「え、そうくる?初めて言われたなあ。」
だって、昨日会ったばかりなのに、まるでずっと前から一緒にいたみたいに、落ち着くから。
私の弱さを丸ごと包むみたいに、優しく笑ってくれるから。
こんなにも、心が軽くなる。
本当、変なひと。