涙色の空をキミに。
「…あんた、私に楯突くの?」
今まで聞いたことないくらい低い声が理緒から発せられる。
そんな理緒の目をじっと真正面から見た。
…相変わらず足の震えも止まらないけど、決めたから。
逃げるしかできない弱い自分には、もう戻らない。
「…楯突くも何もこんなのおかしい。」
「夢空、あんた、誰に向かって口聞いてるか分かってんの!?」
「槇原理緒でしょ?分かってるよ。」
私の発言が余計にイラッときたのか顔を赤くさせた理緒は、"分かってるなら逆らうな"とでも言いたげな目をする。
「プライドが傷つけられたからって渚沙のこと、いじめないで。クラスを、巻き込まないで。」
「…もう、いい。」
私の言葉に怒りで肩を震わせた理緒がそう言うと、私の横を通って教室から出ようとする。
「…まさかこれで終わりだ、なんて思わないでよね?」
通りすがりに言われた言葉に、ターゲットが私に変わったことを感じながらも理緒を睨む。
…これで終わりだなんて思うわけがない。
…そんな中途半端な覚悟な訳がない、でしょ。
理緒が教室から出て行ったのを確認して、ふうっと息を吐くと緊迫したクラスの雰囲気が気まずくなった。
私が今までのクラスの暗黙の掟を乱して反抗したから戸惑うのも当然、だよね。