片思い連鎖 -軽音部×恋-
軽音部の先輩
演奏できる王子様
春。満開だった桜も少し寂しくなった頃。
憧れだった華の(?)高校生活が始まって、はや数週間。
楽しいことが何一つ無い。
ここ、葉山高校は、何故か山奥にあるため、通学時間は一時間。
私の家から最寄のK駅まで自転車、そのK駅から高校の最寄のS駅まで電車。
そしてそこから高校まではバスというプランになっている。
まず中学までは、徒歩で行けるという今考えれば限りなく楽な通学であった。
しかし高校は地味に遠いし、最悪なことに極度の乗り物酔いをする私にとっては苦痛でしかない。
しかも本校は、県内でも特に勉強が厳しいと知っていながら入学した。
なぜか。
この高校を選んだ理由は、"部活"だった。
県内で唯一、"軽音部"があるからだ。
昔から音楽が大好きで、ギターには大きな憧れを抱いていた。
あの六本の弦を自身の手で操れるかっこよさは言葉にならない。
そんな部活だけのために、この高校を選ぶほど、私は軽音がしたかったのだ。