冷酷な彼は孤独な獣医
「龍?どうかしたの?」


龍はなにも言わずテーブルの上に電話を置くと、

また椅子に座り書き物を始めた。














───吉良高我



それはきっと龍の家族………


龍はその名前を見た瞬間、

まるでその人を恨んでいるかの様な目をした。


でもあたしは、その事をあまり気にはしていなかった。


この時のあたしにとって龍の存在は、

別に特別な訳でもなんでもなかったから。


ただ、行く所のないあたしを、

雑用として家に置いてくれただけの人だし、

もしも涼太から連絡がくれば、

すぐに涼太の所へ戻ろうと思っていたから。
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