冷酷な彼は孤独な獣医
「さっさと下に来い」


「何なのよ一体!!」



午後からも消毒や掃除、動物の保定それと電話対応に追われ、

そんな中あたしは、太った飼い主や太ったペットが来ない事を祈った。



「おい!雑用!後肢の内股から採血するから、

コイツの体を横に倒して前肢を固定しろ」


目の前にはブルテリア。


その大きな目と大きな口に、あたしは完全に怯んだ。


「無理!」


「早くしろ!」


「なんで、後ろ足の内股なんて凄く痛そうな所から採血するのよ!」
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