冷酷な彼は孤独な獣医
ずっと黙って我慢をしていた犬が、

さっきまでとは違って愛おしく思えた。



それからも、次々と犬や猫が病院に来た。


そんな中、犬のワクチン接種に来ていたおばあさんがあたしに話し掛けて来た。


「あの……ちょっとご相談があるんですが」


「あっ、はい」


おばあさんは、深刻そうな顔で話す。


「あの……ウチの子、なかなかトイレを覚えれないんですが、どうやってしつけすればいいですか?」


「あぁ……あの………私、今日からここで働く事になって、実は動物の事はさっぱりっていうか………

あの!先生に聞いてみたらいかがですか?」


あたしの言葉に、おばあさんは顔をしかめる。

< 186 / 650 >

この作品をシェア

pagetop