冷酷な彼は孤独な獣医
あたしはソファーから起き上がると、

ラグマットの上に伏せているキリの所へ行った。


「キリ!ちょっと練習に付き合ってね!」


キリはあたしの前に座る。


「じゃあ、伏せ!よし!

んーと後ろ足から採血する時は、

こうやって動物の体を横に倒して、

片足で腰の辺りを押さえ、腕と脚を掴む!オッケー!


次は、頸静脈から採血する時の保定方法。

キリ!おすわり!よし!

えーと!動物の後ろにしゃがんで、両足で体を固定!


そしてマズルを掴んで顔を上げる!


っていうか………」



キリは黙ってあたしにやられていて………


「キリじゃあお利口過ぎて練習にならない!」


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