冷酷な彼は孤独な獣医
渡辺さんが帰ると、桐島さんが厳しい顔であたしに話す。


「飼い主さんと一緒になってあんなに大泣きする人を、

私は初めて見ました。


あなたは、飼い主さんの前でしっかりとしてなければいけない人でしょ!


挙句の果てに、飼い主さんに慰めてもらって!


なにをしてるんですか!」


「すみま…」


桐島さんに謝ろうとすると、

黙っていた龍が口を開く。


「あれでいいんだ」




龍?




「えっ?」


桐島さんは驚いた顔をする。
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