冷酷な彼は孤独な獣医
あたしは先に寝室へと行った。


あたしの気持ちは、龍には伝わらなかったけど、

龍が自分の事を話してくれたのは嬉しかった。


そして、龍との距離が少し近づいた気がした。



龍が寝室へ入って来る音が聞こえ、

あたしはとっさに寝たフリをした。


龍は静かにベッドに入ると、あたしに背中を向ける。


本当に龍は、あたしを女として見ていなくて……


それが悲しい。



あたしの頭の中には、美紀さんの事が浮かんだ。


美紀さんと出会った頃の龍には、

まだ誰かを好きになる気持ちがあった。


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