冷酷な彼は孤独な獣医
涙を拭き龍を見ると、龍はさめた目であたしを見ている。


好きな人にそんな目で見られるのは悲しくて、

また泣き出してしまいそうになる。

でもあたしは、泣くのを我慢して龍に話した。


「嫌だったんだ……」


「なにが?」


龍の表情は変わらない。


龍の顔を見ると、怯んでしまいそうだったけど、

必死で最後まで話した。


「龍の事を誤解したままでいられるのは嫌だったの!


それはあたしの勝手な気持ちかもしれないけど、

でも!あたしは龍がペットと飼い主さんの為に一生懸命な事を知っているから、

だから!龍を最低な獣医だなんて思って欲しくなかったの!


どんなに疲れていても、

そのノートにいろんな事を書き込んで、

休みの日だっていつだって、

龍はペットと飼い主さんの為に、

たくさんの時間を使っているのに、

あんな言われ方したら、黙ってなんかいられなかったよ!


だって龍は、凄くいい獣医さんだから!!」


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