冷酷な彼は孤独な獣医
午後の診療が始まり、結奈ちゃんと一緒に受付けで作業をしていると、

あたしに話し掛ける女性の声が聞こえてきた。


「こんにちは!藤崎さん!」


その声に顔を上げると、

それは前に桐島さんが作った嘘のカルテを見て、

違う薬を渡してしまった時の飼い主さん。


「あっ!野口さん!こんにちは!」


あの時、家に謝りにいったあたしを、

野口さんはまったく怒ったりせず、

凄くやさしい言葉をかけてくれて……

本当、気持ちが救われた。



あたしは受付けから出ると、野口さんの所へ行った。


「あの時は、本当に申し訳ございませんでした」


事情を知らない野口さんに頭を下げると、

野口さんはあたしの肩に手をそえる。


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