冷酷な彼は孤独な獣医
「藤崎さんが間違った訳じゃないのに、

そんなに謝らないで!」


「えっ?」


顔を上げると、野口さんが笑顔であたしを見ている。


「先生から聞いたよっ。

あの後、先生がウチに電話を掛けてきたの。

本当は、あのサプリメントと一緒にいつもの薬を出す筈が、

サプリメントの事しかカルテに書いていなかったって言って、

先生、何度も謝ってね」



龍……


「そうでしたか……」


「吉良先生がそんなミスをするなんて、

なんか意外だねっ」


そう言って野口さんは目を細める。

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